My Backbone 本と映画と音楽と 〜「小清水 志織」こと Yくんのリクエストに応えて〜 


  『ソクラテスの弁明 関西弁訳』(プラトン 著。北口裕康 訳。PARCO出版 刊)


※推薦文

プラトンの哲学書は対話形式(問答形式)で書かれていて、それだけでも読みやすいし分かりやすい(プラトンの意図)と
思います。それをさらに関西弁で翻訳しているので、プラトンとソクラテスのものの見方・考え方が一「読」瞭然! ちなみに、
この『ソクラテスの弁明』だけが、対話形式ではない(一部、ソクラテスと彼を告訴したメレトスとの問答を含む)のです。でも
本の名前の通り、「ソクラテスがアテネ(当時、ギリシアの中心だった都市国家)の人たちに弁明(他人からの非難や疑惑に
対して、そうせざるをえなかった理由や身の潔白を述べること)する」内容なので、何だか読んでいる自分がアテネ市民の
1人になって、ソクラテスから語りかけられているような感覚になります。


※本文引用

わたしが歩きまわってやってることは、ひとつだけです。若いもんにも年寄りにも同じように、身の回りやお金のことを気に
かけるんはええけど、それ以上に、自分の魂を磨くことに気をかけんとならんっちゅうてるだけです。いくらお金を積んでも、
立派な人間になれるわけないし、むしろお金やなんかは、公私ともども立派な人間にはついてくるもんです。



このホームページの「倫理授業振り返り論述ウルトラ80名作・力作集」のコーナーから

「(金と地位)」 ※( )内は授業担当者

「魂への配慮」(のところ)で、「金とか地位だけに心を配るのはNG」ということを聴けて良かった。(なぜならば、)
今の自分は「金と地位が手に入ればそれでいい」と思っていたので、改善できるそうだからだ。

授業担当者のコメント:大事なきっかけになる授業になって良かったです。あと、ソクラテスは「金や地位に心を配ること」
           自体をダメだとは言っていないことに注意をしたいですね。そして「改善」って、「悪法も、また
           法なり」のところでも出てきましたね。トヨタ自動車の優れた企業活動から生まれて、世界中に
           広がった言葉「カイゼン」という話の中で。

「ソクラテス」

ソクラテスは無知の知を人に自覚させたということが、すごいと思った。でも、死刑が決まった時に素直に死を受け入れる
という考え方は、少し違うという気がした。

授業担当者のコメント:ソクラテスが「素直に死を受け入れた」ように思われたのには、次のような理由があります。一つは、
           「魂は不滅だから、死は怖くない」と考えたから。そしてもう一つは、「『悪法もまた法なり』と
           言い残して死んでいくことで、アテネの人々に反省(魂への配慮を大切にして、「よく生きること」)
           を促したということです。